湖西 高島トレイル'11.5.3~5 曇、曇、晴

 今年の連休後半はびわ湖高島観光協会が実施する高島トレイルハーフスルーのテン泊縦走で、檀上CLのサポート役をしてきました。
 幸いお天気も参加者の皆様にも恵まれて、快適なテントライフが楽しめました。

 なお、このイベントの特徴は歩くのに可能な限りの不要荷物を預かるシステムが取りいれられていることで、参加の皆様は比較的楽なザックでの縦走ですから、20名様のうち一人の落伍者もなく足並み揃うことにも十分なる効果があったようです。
 紅く染まる秋にもサポート付きのソロテントにより、後半の楽しい楽々トレイルスルーも実施されますので、是非ご参加なさってみては如何でしょうか?

 いつものようにお花を中心のレポートをしてみましょう。

 初日はゆっくり目のスタートです。マキノ駅9:30集合で出発式後に高島トレイル基点である愛発越へ路線バス(10:03)で移動します。
 そして今回は福井県側の登山口(10:35)から登り始めましたが、クロモジやアブラチャンの樹木花にトキワイカリソウ、シハイスミレにマキノスミレなどの咲き初め花も足元に見られました。

 もちろん高島トレイルにはブナ林が多いことが有名なのですが、そのブナも新葉が見事に展開し、みなさんのうれしそうな感嘆の声がしきりに出だしました。

 もちろんイワウチワも多く見られるようになり、中には小さいながらも元気いっぱいに葉を広げてカタクリもちらほらと見え隠れするようになります。

 そしてイワナシやキンキマメザクラも可愛く咲いて歓迎してくれるます。タムシバ、キブシにマルバマンサクなども5月というのにまだ咲いています。途中では敦賀三山の野坂岳、岩篭山に西方岳もうっすら見えます。

 北尾根に乗り直角に西南へ曲がると乗鞍岳は近くなります。でも今日はあいにく黄沙の影響もややあってか、2等三角点の乗鞍岳山頂(12:30~55)に着いても展望はよくなかったようですが、それでもマキノ高原にはたくさんのマイカーが入ってテントサイトも賑やかなで盛況の様子が見えました。。
 ここでワイワイと昼食になりました。それにしても乗鞍岳へはあっけなく登ってきたものです。

イワナシ(ツツジ科)

 さてキンキマメザクラについても、少し詳しくふれてみましょう。分布は富山県より中国地方の日本海側で、葉の展開前またはほぼ同時に4〜5月ころに開花します。また花は下向きに咲き、萼筒は細長い鐘形です。そして花柄が無毛なのもよく目立ちます。

 なお、この地域には同時期に咲くオクチョウジザクラもあります。この相違点は花柄に開出毛があることです。しかし私見ですが、こちらの個体数は少ないようで、私自身は何度も足を運んでいる新潟の角田山で一度しか見たことはありません。

 電波塔からまたブナ林の中を散策気分です。新緑が目にやさしく、ちょうど花時でもあるのですが、あまりに高木揃いのために山歩きをする方でもほとんどそのお花を目にすることは難しそうです。

 でも今日は上手く下の方に生えているブナの上の枝が登山道沿いの目線で開花して垂れ下がっているものを見ることもできました。しかし写真は残念ながら撮れませんでした。

 関電の鉄塔が立つ芦原岳まで行き、振り返ると乗鞍岳も悠然と山並みを見せてくれます。この後はわずかで今晩の幕営地である黒河峠(15:50)です。

 テントも張ってもまだまだ明るい16時すぎです。周りの植物観察を楽しみます。雌雄同種のツノハシバミの雄花は長く垂れ下がり、芽鱗に包まれたまま開花する雌花は赤い柱頭がアクセントとなって可愛く見えます。
 同じような花をつけるヒメヤシャブシも開花中です。そしてトクワカソウの群落ももちろん確認します。でもまばらな開花状況で、これからどんどん咲いてくれることでしょう。

自然の中でのテント村は気分いいですね〜 ツノハシバミ(カバノキ科)

 



 防寒着持参を控え目にしたためにテントでの夜間の寒さには参りました。でもなんとか乗り切って6時出発に備えて4時ころには周りの音で目が覚めました。起床です。山のみなさん朝は早いです。そうですね、早出早着きといいますからね・・・

 二日目のコースはこれまでに数え切れないくらい歩いています。そうです、花のハーフスルーの真骨頂ルートでもあるのです。もちろん「花の百名山」でもある赤坂山一帯が楽しみです。

 初夏にはキンコウカが見られる三国山湿原も今はまだ冬枯れ状態です。すぐに沢の水場に出て、土砂崩れの進む地で一本立てます。
 その後はデポして3等三角点の三国山山頂(7:15~25)です。コース中この部分のみ道沿いに残雪を踏むことになりました。こちらからの赤坂山展望は樹林が成長してやや苦しくなってきています。この立ち寄り道にはバイカオウレンが多数咲いていましたがトクワカソウはまだまだこれからのようです。

 スミレ類も楽しいのですが、以前には明王ノ禿の砂礫地一帯に群生して見られたオオバキスミレが激減しているのは寂しい限りでした。
 このスミレはキスミレの一種で葉が大きくハート形で有柄であり、赤坂山や野坂山地が分布のほぼ西限といわれています。
 ほかにカンアオイの仲間のウスバサイシンの葉に似るということでのスミレサイシンも咲き初めで、比較的珍しく花びらの色合いも淡くやさしいお花を咲かせる山陰型タチツボスミレにも出会えました。

オオバキスミレ(スミレ科) スミレサイシン(スミレ科)
山陰型タチツボスミレは葉の基部が切形になるのが特徴

 またバイカオウレン、カタクリ、トクワカサソウ、ショウジョウバカマなどもきれいに満開で咲いてくれていました。ミヤマカタバミは曇り空のためでしょうかしっかり開花しているものは少なかったようです。
 それに樹木でよく見かける互生のイヌツゲでなく、比較的珍しい対生の葉を持つ本ツゲが黄緑色の花びらで咲き初めでした。
 この付近ではもう少しすればツクバネやヒメシャガという比較的珍しいお花も見られるのですよとお話もさせてもらいました。 

バイカオウレン(キンポウゲ科)

 そして赤坂山の春のお花の代表選手はオオバキスミレに続いてトクワカソウですね。イワウチワとの区別点などについてふれてみましょう。

 まずトクワカソウの葉は広楕円形で基部は円形または切形になるのが大きなポイントでしょう。そしてイワウチワの葉は長さより幅が広く、基部が心形となるようです。しかし区別しにくい固体もあるようです。

トクワカソウ(イワウメ科)右画像はトクワカソウの典型的な葉
イワウチワの葉の基部ははっきりした心形

 なお、アザラシ岩まで来ると明王ノ禿はもう目の前です。その明王ノ禿(8:15~45)はアルペン的な風貌で、花崗岩の風化作用によって長い年月をかけて水と温度の変化により硬い岩石も崩れ、粘土質のような状態になった一帯です。とりわけまるでモアイ像のような奇岩は目を引きます。

 ここのガレの広場で賑やかにクロモジやタムシバの新枝を炊き込んで、珍しくも美味しいテイータイムもお楽しみいただきました。

 そしてこの一帯から見る南西よりの赤坂山は美しい山容で明王ノ禿の荒々しいガレとは対照的な風景を作っています。

モアイ像のような奇岩 明王ノ禿から見る赤坂山

 山頂付近は突風がいつでも吹きすさぶ赤坂山(9:15~20)は4等三角点が埋まっていますが、風強く山名札も壊れて傾いています。

 その後は粟柄越から高原のような笹原の散歩道が続きます。もっともこの一帯の笹も鹿の食害で裸同然の状態となってしまっています。841大塚のピークや割谷の頭の859も立ち寄りするなどゆっくりのんびりしたものです。

 もっとも本日のテン場も残雪の林道の関係から抜土までしか歩けません。このために極めて亀さん歩きが続きます。それでも寒風(11:30~50)までくればもうお昼としましょう。

 3等三角点の大谷山(12:05~20)でものんびり腰をすえて休憩とします。お陰で日が差してくれていますから少々の風があっても休めます。

フル装備のザックで夏山に備えます・・・フゥ

 なお、現地でジロボウエンゴサクと話していたお花の他の画像を見ますと、苞に欠刻があることが判明したためにヤマエンゴサクと同定しました。ちなみにジロボウエンゴサクの苞は全縁です。

ヤマエンゴサク(ケシ科)

 ブナ林もまたまた楽しみながら三叉路から急坂を下り降りると二日目の抜土テント村到着(13:30)でした。その付近にはトクワカソウの大群落でしたが、もう皆さんは見飽きるくらいに目にしていました。

 それでも周りを徘徊してみますとツノハシバミはもとより、クマシデ、アカシデにキブシやスミレ類も咲いているではありませんか。沢筋をガサゴソとしてみますと、結構見ごたえのある大木のブナやサワグルミなども林立していました。 



 三日目は約20kのロング縦走となりました。さすがに早く5:30のスタートでいきなりの急登ですが、まだまだみなさんお元気です。近江坂分岐より大御影山(7:30~35)、山頂より西へ歩いて大日尾根分岐から南へ進路を変えて進みます。

 これまでより標高が900mと高くなっていますから、あたりの木々はまだまだ新葉の展開は見られません。足元に白いバイカオウレンが健気に咲いているくらいです。

 889Pのあたかも”たこ踊り”のような大きなブナの立つ天増川への分岐で一本(9:30~40)です。このブナの大木の間にはトクワカソウでしょうか。可愛く咲いているのを見つけてみなさんデジタイムでした。

 

 そして遂に捕らえました。高島トレイル中で最高峰の三重嶽974.1m2等三角点に到着(11:10~35)です。ここで本日初めての登山者が到着でした。その後にはまたも単独行の方にも会いましたが奥深いこの地の三重嶽へマイカー利用?による単独行はなかなか勇気のいることでしょう。

 

 昼食が済むと本日最後のピークである湖北武奈ケ嶽を目指します。休みを何度も取りながら草稜からの東の山並みが見事に並んでいました。ブンゲン、伊吹、霊仙、御池、藤原とお馴染みさんばかりです。

 青年がトレランで追い越していきます。愛発越から来たんだって?、えー、いや〜参った参ったとの声ばかりです。そしてこれから桑原橋の終点まで行くと聞きこれまた参りました。ギョ・・

 武奈ケ嶽山頂は展望に泣きます。その手前の草稜地からまさに中央分水嶺の証の琵琶湖、若狭湾を眺めます。そして山頂からほぼ下り一方となってペースも上がります。赤岩西峰先の岩場をなんなくクリアして次第に標高を下げますが、この後も結構アップダウンの急坂下りを何度も繰り返します。

 この急下りの箇所ではシロモジが満開で、さらに今春初見のダンコウバイも満開に出会え、そばを歩くお客様にさっそく、シロモジとクロモジの相違点やダンコウバイとアブラチャンの見分け方などを説明させていただきました。

 シロモジは葉先が概ね三浅裂しますが、クロモジは割れない葉で単葉です。またダンコウバイはお花が枝から直接つきますが、アブラチャンは5mmほどの短い花柄があります。また樹形からもダンコウバイはほぼ一本立ちしますが、アブラチャンは群立ちすることからムラダチという別名も持っています。 

 最後に直角に東へふる広場で一本でした。ふと足元を見るとあたり一面に芋虫のような花穂が散乱していますが、誰もこの花への関心はないのでしょうか。いえそんなことより疲れがいっぱいでなのでしょうか。
 この花はイヌシデの雄花でした。

落下していたイヌシデの花穂(カバノキ科)

 この広場より40分で水坂峠(16:05)着でした。本日は10時間半の歩きとなりましたが、全員何事もなく無事に歩き通していただきました。
 ご参加いただいた皆様大変お疲れ様でした。また秋のハーフスルーでお会いしましょう!

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