富士山の森の紅葉前夜発'11.10.19夜行帰り  曇

 夏季集中登山のメッカである富士山ですが、多くの方は山頂からご来光を見て頂上を踏むのがお目当てでしょうが、中腹近くの樹林帯の森歩きがまた格別な楽しみのあることについては、全国から押し寄せる登山者の方にも一般的にもよく知られてないようです・・。

 今日も五合目には観光客は見られましたが、この度訪ねた富士山の森へ一歩足を踏み入れると、とたんに人影はなく極めて静かな針葉樹たちの原生林が広がり、そのような中にも広葉樹たちの大紅葉の連続でありました。

奥庭手前から紅葉越しの富士

 それでは登山道です。五合目から精進口登山道を三合目樹海台方向に向けて下って行きましょう。このコースは古道の登山道で、今はこれを山頂目指して歩く登山者はまれなほど、いえまず見当たらないでしょうとガイドブックでも謳っています。

 道は相当荒れていますが、幅広くて歩きにくい箇所は部分的です。周囲は黄葉盛りのカラマツを代表にシラビソ、コメツガ、モミなどの針葉樹が数多く見られます。もちろんミネカエデ、オガラバナ、ヒロハツリバナなど多数の落葉樹もいろいろな紅葉、黄葉の演出が続きます。

 今回は所属のガイド協会仲間でエコツアー研修トレックです。講師役のOさんが自然と人との橋渡し役としての喜ばれるインタープリテーションをテーマに進めていただきます。

 今日は自然フィールドでのインタープリテーションを普段以上に意識しながら歩きたいものです。自然のなかの見たり聞いたりすることはいうに及ばず、見えない自然界のメッセージまでも意識しながらの歩きをします。

 たとえば枝が特定の方向に伸び風下方向になびきながら成長した樹木の風衝木を目ざとく見つけたり、足元に転がる溶岩の特徴である細かい穴が見えますがその色合いが赤っぽい色や、黒褐色であったりするのはどうしてなんだろう?(赤色には酸化第二鉄の鉄分含有)などと疑問視するように意識します。
 さらには樹木の途中まで苔がつき、一定の部分から下には苔がない(↓の画像)のは何を意味するのだろうか?などです。(最深積雪の目安)

 このように森林の中の不思議をいろいろ考えながら歩き、そして参加者にそれらのトピックを楽しく愉快に話して喜びを得られるように意識します。

 もちろん自然の大きさ、深さを感じていただくこと、また生態系の仕組みにも関心を持ってもらい、マクロ的、ミクロ的な視点から自然の見方・つきあい方のヒントを得ていただくことで、登山へのさらなる関心を高めていただけるようなインタープリテーションを身につけるように研修するよう考えていました。

 ただ、富士山での高山病に対する歩き方の解説は欠かせません。歩きはじめは特別スロー歩きを心がけて進み、決して普段の登山と同じようなスピードで急がないように特に注意して歩くことです。
 そして歩行中の呼吸の仕方を具体的に見本を示しながら歩き、肺の中の空気を総入れ替えするような気持ちでの呼吸を心がけることなどです。
 さらに大事なことは水分補給をこまめにとるように注意しようなどが特に重要な内容でしょう。

 このようにいろいろな面からの話し方のポイントを聞きながら、氷穴を覗いたり、シラビソにからみつくサルオガセを五感で観察したりして、超のんびりゆったり歩きが続きます。

 そして三合目の分岐まで標準タイム1時間のところを2時間以上もかけてのんびりと自然観察でした。ここでまたゆっくり休憩していたところ、面前にあまり見かけた覚えのない樹木はシデコブシではとも話が出ていました。
 でもどうも納得いかず帰宅後調べると、どうやら山に見られるヤマネコヤナギともいわれるヤナギの仲間である古木のバッコヤナギでした。

 そして今度は南方向へ御中道への道を登って行きます。こちらは完全な山道それも針葉樹の倒木多く、あたかも障害物競走のような道をどんどん登ります。こちらは標準タイムどおりの約2時間で歩きます。 

  

 するとやがて奥庭に上がってきます。講師の声に頭を上げると見事な富士が見下ろしてくれて絶景が広がっているではないですか。。それにここには散策路が整備されており、ようやくのトイレや土産物屋さんの奥庭荘が営業しています。
 早速お土産のコケモモジャムを取り上げます。歩いてきた道にもたくさん見られたコケモモで作ったジャムでした。これまでから山歩きの中で話のネタとしていつも活用させていただていたものですが、今日こそ買わなくてはなりません。そしてその賞味の加減をまたみなさんに披露することとしましょう・・

 

 そしてグルッと遊歩道を一周ですが、展望地からは南アがずらりと見渡せました。北の甲斐駒や北岳、間ノ岳、農鳥岳などの白根三山から南の聖、上河内岳までずらりと山座同定です。この最高のパノラマを前にみなで大感動の声が続きました。
 もちろん南アの手前に黒く潜水艦のように見える低い山並みは左から天子ケ岳、長者ケ岳から毛無山に竜ヶ岳と稜線が見え、これまた既踏破の思い出の山々に震えるほどの大感動で喜び合いました。。

 このように富士山は山頂まで踏まなくても中腹でも身震いするほどの感激の得られるすばらしい森があります。富士山を登頂済の方はもちろん、山頂までの体力に自信がないと言われる方ともども、是非多くの方々にもこの景観をお楽しみいただきたく思います。
 その節にはぜひともよきインタープリターとご一緒に〜・・・

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