六甲 水晶谷徘徊'11.11.21 晴

 六甲の水晶谷へ久しぶりに出かけてきました。ところが何を思って歩いていたのか、この2月に赤布をつけていた所を西滝ケ谷へ降りるのもすっかり忘れてしまい、ササの細い道を20分ほど歩いてようやく、あっこれはおかしいと気がつく始末でした。

 仕方ない、え〜いままよとこのまま笹原のか細い道を進行して行きます。そして大平岩から約30分ほど歩いてはっきりとした道に飛び出ました。頭の上のほうにはパラボラアンテナ2基も見えています。
 すると峠の小径という指道標も現れます。手元の地図によれば住吉道から分かれて山腹を高巻く森林管理道のようです。

 するとどうでしょう。前方には真っ赤な紅葉が見えるではないですか。近づくとイロハモミジの大紅葉で飛び上がるほどの感激でした。
 このカエデは植栽の紅葉では寺社などのどちらでも見かけるのですが、このように自然の中でのすばらしき色合いにはまさに錦秋の大景色、感激ひとしおの喜びでありました。なお、紅葉のメカニズム*については↓をご覧ください。

イロハモミジ

 感激の紅葉鑑賞を済ませてさらにしっかりした道を上がります。どうせこのまま進めば舗装路から縦走路へ向かえるようです。下の方から見えていたパラボラアンテナは建設省の六甲無線中継所のものでした。東側の西お多福山にはもうひとつのパラボラアンテナも見えます。

 そして極楽茶屋から先にある基礎だけ残る茶屋跡地で昼食予定でしたが、稜線のために結構風あり、とても寒くて食事どころではありません。

 すぐ先からいよいよ水晶谷へ入ります。葉もすっかり茶色に枯れきったイヌブナを見た後がきつい下りとなります。ところが一昨日の一日中降り続いた雨のためでしょうか、道は急坂でありぬかるんだままで滑りまくりで参りました。
 枯れ沢の極楽渓にかかる5個の堰堤を下って大滝を目指します。

 ほどなくこのコースの目玉の水晶大滝にロープ場を巻いて滝下までやってきました。う〜ん、すばらしい勢いの水量が落下しているではないですか。
 落差10~12mといわれる小さなな滝でありますが、ここまで分け入るのはほんの一握りの登山者しかいないため格別な思いがします。

普段これだけの水量の水晶大滝には出会えません

 ここで遅めの昼食としましょう。しかし勢いある滝と対峙しながらのひとりっきりの食事でしたが、なんだか心の修行をしている感がしないでもありません。

 そしてこの下には15分もしないで水晶小滝が待っています。この滝も普段より大目の水が見られ、右岸のロープを頼りになんとか岩場を降ります。

水晶小滝も元気いい

 二つの滝めぐりを終えると足元の水量が気になりだしました。沢の水は次第に多くなってきているではありませんか。
 そしてやがてとても沢の中の通過は困難な箇所も出てきだしました。しかたなく両側の歩きやすいところの藪漕ぎや崖の始まりです。
 でも沢の中洲にもヤマボウシの紅葉が日に照らされて見事に沢にマッチしているところも見られるなど、素敵な沢歩きも楽しみます。

 もちろん、水晶谷から西滝ケ谷への数え切れない堰堤の上り下りもやらねばなりません。こちらの堰堤はほぼ左岸側がほとんどですが、中には右岸を越える堰堤もあったりして、それにはルート探しにも神経を使う必要も出てきます。

 途中忘れ物の赤い帽子が小さな岩の上に乗せられた箇所から右岸へ渡って沢から離れます。もちろんこのまま沢は下れますが、なかなか増水あったり急な高巻きもあったりして下りには厳しいことでしょう。
 そんなことから迷わず私は沢から離れてやや登って広い山麓を行きます。途中カナクギノキの紅葉はすばらしく、めぼしの大山桜の木は黒くなって丸裸でした。
 沢に降りる最後はロープも設置されるなど左側は切れ落ち、ヒヤヒヤのなかなかの道も歩けます。ここを沢に降りてきた時には寒い一日であったにもかかわらず、じっとりと汗しているのも分かりました。

 そんな難渋の沢くだりをおよそ2時間ばかりかけて大平岩までやってくればもう一安心です。その下のベンチも設置されているきれいな休憩処でゆっくりとさせていただきました。

大平岩の渡渉地 奥の堰堤は西滝ケ谷のもの

 そしてのんびり五助の堰堤からくるくるバスのエクセル東より乗車してJR住吉駅まで帰ることとなりました。

 

*紅葉のメカニズム

 あの美しい紅葉は実は樹木の生態保護システム、つまり木々が自分の生命を守るための知恵の一部なのです。紅葉するのは落葉樹ですが、その名のごとく毎年秋から冬にかけて葉を全部落として丸坊主になります。

 植物というのは常に気孔から水分を蒸散させて、体内の水分量を調節しているのです。雨量の多い時期には余分な水分はどんどん蒸散させればいいのですが、冬期になって水分量が少なくなってくると、葉からの蒸散は逆に木に必要な水分量まで減らしてしまいます。水分は植物にとって命綱ですから必要な水分量が不足すれば大ピンチです。

 そこで水の少ない季節は蒸散を防ぐために葉を落として身を守るわけで、この落葉に至る一過程として、紅葉、黄葉という現象が起きるのです。

 つまり紅葉、黄葉は落葉の準備段階すなわちプロセスということができます。さてその紅葉の具体的なメカニズムについてふれてみましょう。

 前述のように秋から冬にかけて気温の低下とともに、葉柄の基部の部分に離層というコルク層が形成されます。すると葉と茎の間で水や養分の流れが悪くなり「光合成により作られた糖分が葉に蓄積されて、これからアントシアンという赤い色素を形成します。そしてクロロフィルという葉緑素が分解されて緑の色素が減少する」と紅葉になる図式です。

 これらの過程でいろいろな紅葉になる一方で、今まで目立たなかった黄色のカロチノイドという色素が目立って現れてきて黄葉となります。

 植物の種類や土壌、日照などにより、これらの過程には個性があり、赤、黄、まれに橙、紫色というように様々な色合いの葉となります。

 このように私たちを楽しませてくれる紅葉は、実は植物の保身術の副産物で、理屈が分かってみると一枚の落ち葉もワァー可愛い、きれいだねと感じていとおしくなりますね。

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