安芸の宮島宮島 弥山'12.2.5

 この時期なら身体も空いている立場から、普段の山歩きの山系とは異なる瀬戸内の植物達を覗きに行ってきました。

 さすがに天然記念物にもなっている弥山原始林であり、照葉樹林帯の山域のためにあまりお目にかかれない樹種にも出会え自然観察のみならず、ハイキング、歴史探訪など楽しい一日となりました。

 もちろん本年の大河ドラマの清盛の地です。観光客も寒空のなかにもかかわらず、すごい人出で宮島の観光地も大盛況のようです。

 国宝、重要文化財の厳島神社は世界文化遺産でもあり、とりわけ海中にそびえ立つ朱塗りの大鳥居も目にもあざやかな風景で、さすがの日本三景のひとつも見事で風光明媚な景勝の地でした。
 この大鳥居は奈良の春日大社、福井の気比神宮とともに日本三大鳥居ともいわれているようです。まずはその大鳥居を松原越しにご覧ください。

柱の前後に稚児柱(控え柱)を設ける両部鳥居様式の代表

 そして今回は清盛神社にも参拝は忘れません。でもしかし厳島神社へお参りした後でもあり、こちらの清盛神社はあれだけの平安時代を生き抜いた大人物であったにしてはやや・・?との感じではありましたが・・。

清盛神社はひっそりと・・

 そしていよいよお目当ての弥山原始林を楽しみましょう。まずは大元公園からのコースを登ります。この公園はツガの原始林でもありますが、その一帯にはツガとともに私には珍しいミミズバイ(ハイノキ科)が出迎えてくれました。

 私は紀伊半島の湯浅の低山では見ていますが、そう何度も出会っていませんので気になります。さてこのハイノキ科にはサワフタギは山歩きの人たちにはよく知られていますがそれは落葉樹です。ところが今回のミミズバイは常緑樹でこのハイノキ科にはこちらの仲間が数多く種類が見られます。

 この常緑樹のハイノキ科の仲間達には春に咲くものと夏から秋に咲くグループがあります。このミミズバイは7〜8月の夏に咲きますので、私は開花時には未見なのですが、果実時の晩秋にしか見ていません。さてそのミミズバイの今日の画像をご覧ください。

葉先は短く尖り、葉表面へ光沢あり 葉裏は灰白色、両面とも無毛
冬芽は卵状球形で褐色の毛が密生 樹皮は灰褐色または赤褐色でなめらか

 なお、花の咲き方について若干ふれてみます。
常緑生のハイノキ属のうちハイノキのみ花に長い柄があり、散房状につくので判別しやすいです。またクロキ、ヒロハノミミズバイに今回のミミズバイは葉腋に団塊状に花をつけ、クロバイ、シロバイ、カンザブロウ、アオバイなどの花は穂状または総状の花序の姿で咲きます。

 次に初見のホウロクイチゴ(バラ科キイチゴ属)にも出会いました。この種も沿海の山地の林縁に生育するので私にはほとんど会える機会は少ないのでしょう。

ホウロクイチゴは見ためは全体にごつい

 もちろんキイチゴ類ですから茎には針状の刺があるのですが、多くいる鹿は葉も実も食べまくっているようです。なお、名前の謂れは果実を果床からはずして逆さにすると焙烙に似ていることによるらしいです。 

 石段の多い大元コースを汗しながら登って行きますと初めのピークは駒ケ林という岩のみの山頂に出ます。ここは昔厳島合戦の壮絶な舞台となったことで知られています。
 今日は厳しい寒波もやや緩み、また前線が西からやってくるためにほとんど一日曇り空ばかりでした。そのために展望もほとんどなしの日となってしまいました。
 本来なら瀬戸内海の多島美が楽しめるところのようですが、わずかに弥山山頂展望台に小さく人らしき動く姿が見えるくらいでした。 

 さて、展望の楽しみは諦めて本日のピークである弥山に2時間弱で登ってきました。いろいろな不思議?をもつ岩などを巡りながら3階だての展望台でした。こちらの山塊の地質はほとんどが花崗岩類だといわれているようです。

 さぁ、展望台2階で昼食です。もちろんアナゴ弁当を宮島口でゲットしていましたから、このお昼は寒いのですが最高の美味でした。

 この宮島は食の楽しみなところでも有名なところですね。主たる特産はアナゴ飯、アナゴチクワ、焼きガキ、あさり、もみじ饅頭などですが、私は宮島杓子などの工芸品より土産には食の方をチョイスでした。

 半時間ほどのお昼タイムから寒さ続く紅葉谷コースを下ります。カゴノキを見たり、シキミ、サカキなどの照葉樹などの多いのも登りの大元コースと同じで足は登りほど止まりません。
 前半の下りほとんども石段が多く、紅葉谷公園まで下りてようやく石段の姿が消えてくれました。なお、下りは1時間もかかりませんでした。

 このようにここ宮島弥山原始林の暖地性植物達には他にもタイミンタチバナ、ゲンカイツツジ、ヒメヤマツツジ、ハスノハカズラ、サカキカズラ、カギカズラ、カンコノキ、ハマニンドウ、ハマゴウ、ナンゴクウラシマソウ、アオテンナンショウ、シバナ、クマヤナギ、ヤマモガシ、トキワガキ、トサムラサキ、ヒノキバヤドリギ、クスドイゲなども場所、時期を変えると出会えるとのnet情報も目にしていますので、いずれ機会があれば再訪してみたく思います。

 そしてもう一度大鳥居見物を潮が引いてくれていないのかなぁと期待して向かいます。どうやら6H周期の干満らしく、なんとか潮の引いているところで鳥居の20mくらいそばまで行けました。完全に引くと鳥居の下をくぐることもできるようです。

緑っぽく見えるのはワカメでしょうか、もったいない!、みな踏みつけて歩き回っています。

 こうして安芸の宮島のほとんど観光気分の一日をエンドとします。だがこの後の新幹線の車中でも結構楽しみながら帰京とします。窓際に陣取ったものの窓へは無常にも小雨が寒さをひどく感じさせます。

 手元の古くなった松本清張『黒い画集 遭難』のページを追うのは何度目でしょうか。その舞台となっている北アルプス鹿島槍へ私も何度か登っています。

 さて、その鹿島槍の牛首尾根に迷い込んだA銀行丸の内支店長代理である江田昌利をリーダーとする3人パーティー、彼らの遭難事件は何度読んでもおもしろい?ミステリー小説なのです。
 私はおもしろくするために適度に読む間隔を空けるようにしているため、細部の記憶も途切れ途切れとなって、ついついのめり込んで夢中になってしまいます。

 往路からの読み続きを広げます。そして延々と江田は岩瀬秀雄が疲労困憊するような作戦にもっていき、妻の不倫相手である岩瀬を遭難死させるように仕掛けて歩きます。
 予定通りうまく誘導して部下である岩瀬を遭難死させました。その後死者の姉からの電話でぎくりとした江田は、その場所へ弔いのために案内してほしいとの依頼で同行した従兄の槇田二郎の江田への動機追及に対し、いよいよかき消すためにはこの男も始末せねばと鹿島槍山頂からの北俣本谷の壁をおりましょうと誘って雪崩の中への殺害に及ぶところあたりで「次は新大阪・・」と列車案内は告げているのでした・・。

 この短編の遭難は映画化されています。そのあらすじはこちらからご覧ください。

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