京都北山 愛宕三山'12.2.8

清滝-梨ノ木林道-首無地蔵-竜ノ小屋-竜登口-竜ヶ岳-滝谷-反射板
-地蔵山-ジープ道-愛宕山-大杉谷左岸-ヒグラシノ滝-空也の滝下-清滝

 いつものコースとなってしまいました。実は比良の武奈へ向かう予定でしたが、予報ではほぼ一日中の降雪を報じています。この予報ではとても平日のダケ道からの武奈は無謀だろうとの判断で、あえなく無感動の道となったのです。

 愛宕山系では昨年と違い、今年の雪は少なそうです。でも寒さだけはいつもの年より負けてはいません。今日は特にほとんど雪が降る一日でしたから寒いってものではありませんでした。

 梨ノ木林道では最初にアカシデがたくさん花殻をつけているのが目に入ります。さらに行くとヤマコウバシのいつまでも残る枯葉を確認し、梨ノ木大神のハンノキの花はそろそろ終盤なのでしょうか?、あまりに背が高すぎて空を見上げるようにしての開花状況がはっきりしないのです。そばにVの字形の大木となっているオオバアサガラの花殻はだらしなくぶら下がったまま枯れているようです。

 首無地蔵で頭をたれて龍ノ小屋です。相変わらず真っ白い山間の中の空間はえも言われない様が静かに流れています。
 ここからアイゼン装着とします。しかし今日は水量多くその先の竜登口への三叉路渡渉箇所は流れも深くなっていました。
 慎重に越えていよいよ竜の東の壁へ突入とします。途中岩場混じりの一帯は北よりの強風が連続し、足元の岩場にはほとんど雪は飛ばされてうっすらと岩肌が見えるほどとなっています。 

登って岩場を上から見る・・

 何箇所かこのような岩場をゆっくりと上がり、シャクナゲの多いあたりまでくるともうひと安心でしょう。でも急登はまだまだ続きます。私は右に回って上がる本線は使わずに、あくまで直登していきます。もちろんノントレーです。

 そしていつものように沢の竜登口よりなんとか半時間ほどで竜ヶ岳に到着です。またしても干支の山、竜ヶ岳です。この景色を待っていました。お〜すばらしい〜〜

 しかし、このお天気です。見えるのは地蔵と愛宕くらいで比叡山すら見えません。寒さにおされて前進です。さぁ滝谷へまっしぐら、でも期待していたほどそう雪はありません。しかし今回は昨日までの凍てついたものが強く残っているために、早朝からの降雪を踏むという状況で比較的歩きやすく体力もそんなに必要としません。

 なんなく滝谷へ下ってわずかに遡行し、三叉路の谷を西への激登を反射板へ向けて登って行きます。20分ほどで反射板地でした。寒い!、ここの北風の強さは一級品でしょう。あたりの景色も樹氷直前です。

 反射板地のこれより地蔵に向かいます。でも15分であっけなく展望のない地蔵山でした。思うにどうしてここへ足を踏み入れるのだろうか?といつものことながらつくづく思ってしまいます。もうこうなれば惰性でしょうか・・・?
 腕を覗くと12:35でそうだ食事だ・・、降る雪の中では鍋もよそうと今日はその用意もなく、この山頂は樹林の中なので簡単に軽食で済ませます。

 

 この後はジープ道まで変化なく無表情な歩きが続きます。途中の展望地はもちろん真っ白で立ち止まれません。こんな単純な歩きとなると、昨夜も歩いている今とは違う、暖かくぬくぬくとした布団の中でページを追っているミステリー小説が思い出され、今晩も読むこの後のストーリーは・・・なんて考えてしまいます。

 さてその内容ですが、TV化も5度されたという松本清張原作『坂道の家』なんです。

そのあらすじは
「寺島吉太郎は場末の町で小間物店を営んでいた。質素に生活を切りつめ倹約を守り、46歳の現在まで、痩せた女房以外に女性を知らなかった。ある時22・3歳の今まで見かけない女性が店を訪れた。けだるそうな口の利き方であったが、その口調には妙な魅力があった。名前は杉田りえ子というのだった。商品をまけてくれるよう頼みつつ、吉太郎を見上げるりえ子。次第に彼女にのめり込んでいく、吉太郎の蟻地獄が始まる。」
という推理小説はもちろん私はTVも見た覚えがあります。

 「枡で計って箕で零す」ような人生だった寺島吉太郎は間抜けな馬鹿げた男だったなぁなどと、鰾膠(ニベ)もしゃしゃりもないこんな小説のことを考えながら歩きます。
 ふと気がつくとスキー場跡地の看板で、のんびり竜ヶ岳への取りつきや三角点地をそれぞれ左に見送って愛宕神社へ向かいます。

 そしてようやく愛宕山です。今日は−5.5度と私の覚えでは一番寒い日となっていました。ここへは2時前でしたからほとんどストーブ小屋も人影は少なくのんびり休憩です。 

 そこへ学生さんがデカザックで飛び込んできました。これからテン泊ですか?と聞けばいいえ初心者ですからちょっと重めの荷で練習だけ、日帰りです。と元気ににこやかに答えてくれます。

 上がって来た道を聞けば保津峡から水尾を経由で、またピストンで帰りますとのこと、うん、やっぱり初心者だなと聞いていましたが、よくよく聞けば十種雲形など観天望気、担ぐ荷物の内容、地形図を広げてのコース取りなどの質問は初心者だという割りには、しっかりとした下調べをしているようであり、単独の初心者にしては立派な山歩きであるようです。学生だがワンゲルではやってなく、勝手にアウトドアを楽しんでいるとのことでした。

 この青年は確かに「松の潜りようが足らぬ」のはいたしかたないにしても、山の装備、コースなど山歩きの最低限の知識や用意等の話を聞き、中高年の方々にも更なる考えが必要ではないのだろうかとひしひしと身につまされる思いで青年と話しているのでした。

 さて、小一時間も青年を相手にしたために下山を急ごう!、とまたまたアイゼンを履きます。そして大杉谷から左岸を目指します。この九十九折れの大杉谷は直にまっすぐ杉の植林下の雪を踏み、そして桜の園手前を左折で左岸ルートへ入ります。

 ヒグラシの滝まではほとんど雪も少なく、ルートを見失うこともなく滝の音を耳にします。そしてその小さい滝は今日も元気に水量を落としています。
 いつも変わらないこの空間をどのような気持ちで眺めているのか、それとも希薄な感情だけでの心根なのだろうかと、とりとめなく心の中をまさぐっているのでした。

 この後ほぼ1時間で清滝のバスに乗りましょう。ほんとうのところはもっと多雪の滝谷や左岸を歩きたかったのが本音でしたが・・。

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