奈良 アオモジの生駒山'12.3.13

 念願かなってアオモジ(クスノキ科ハマビワ属)の群生地を訪れることができました。私はこのアオモジを京都の植物園と仁和寺裏山の二ヶ所で見ていますが、いずれも植栽ものばかりでした。

 以前より山仲間はこの木なら生駒にも大群生であるよ、との話を聞いて一度は見たいものだと長年考えていたところです。
 というのはこのアオモジは本州では岡山県以西から九州の丘陵帯の山林地に生えるとのことですが、特に沖縄方面の屋久島には多いようです。
 しかし関西の名は分布域には出てきません。このことを知っていたために、え〜、生駒に・・?という訳でありました。

 ま、それはともかく、百聞は一見にしかずとのことでようやく願いがかなったのでした。その群生地なるところを見て、なるほど山歩きの方達がこれって自生だよね・・といっているのが分かるような気がするほど、いっぱい林立大群落地を見て、そのアオモジにはこれは自生種だろうと思え、これぞ驚愕の極み、忸怩たる思いでした。

 それでは画像をご覧ください。ところが樹木はそれぞれ、そこそこ大きく成長しており、Upでたやすく撮影はほとんど出来ないような枝ぶりのために、満足なる画像は撮れずじまいでした。
 また撮るにはストックで枝を引き寄せ、枝先をひっぱりながらの撮影でしたので下から見上げると、この木の枝は上を向いて花を下げていますが、その状態ではなかなか撮れませんでした。手に持っての撮影でしたから、ピントも合おうはずがありません・・・(言い訳かな、笑)

 なお、今回はみなほとんど蕾状態で、満開となるにはまだ一週間近く先のようでした。

ほころびかけた花をなんとか見付けましたが、、、

 次に花達の様子ですが、いろいろな姿がありました。

@花芽 A蕾がほころび寸前だろうか

 @花芽

 直径3mmほどのやや扁平な球形で、湾曲した長さ1cmほどの花柄で下向きに下がる。なお、この画像のバックに緑色の葉はイヌツゲの葉です。
 なお、アオモジの葉は花の開花と同時または開花後に出てきますが、今回の固体では葉は一様に未展開でした。

 A上の右画像

 まもなく開花となるような固体を探して撮りました。この花芽の先の細長いのは葉芽です。紡錘形で長さ7~15mmあり、先端は長く尖り葉状の大きな芽鱗に包まれます。

B樹皮 C群生

 B樹皮

 縦に裂けた灰色の皮目が散在します。なお、この固体の太さは直径約6~7cmでしたでしょうか。アオモジは大きくなると直径10~15cmになるようです。

 C群生状況の様子

 この地はやや高いところで、日当たりの極めてよい鉄塔の周りにぐるりと、若木から太さ10cmくらいのものが数え切れないほど多数生えていました。

 もう少しアオモジの様子を説明してみましょう。

・アオモジの仲間には他にハマビワ、バリバリノキ、カゴノキがありますが、関西ではカゴノキは普通に見られますが、他の樹種はほとんど見かけません。

・樹形は落葉小高木で、高さ3~5mほどに成長し、球形〜楕円形の樹形をつくると言われています。

・新枝は暗緑色で無毛、葉とともに芳香があります。

・果実は直径5mmほどのほぼ球形で、9~10月ころに赤色から黒紫色に熟し、食べると辛いようです。

・用途としては、庭木としても植栽されたり、果実や材にはレモンのような芳香と辛味があって香料にもしたようです。
 なお、別名ショウガノキ、コショウノキ、ヤマゴショウなどともいわれているようです。また、材は白く、香りのよいことから爪楊枝にも使われるようです。そして花色が黄色みが強い雄花は切り花に利用されているようです。

 しかし、帰りぎわまで平群一帯の山麓では、あちこちであれはアオモジではというくらい見かけました。それも不思議と雄株と雌株が近くに見られたような気がしましたが・・。

 

 さて、本論ですが、私は帰宅後どうも気になっていろいろ調べてみました。

 すると生駒山系で見られるアオモジは結論からいいますと、やっぱり自生種ではなく、以前に花卉栽培農家の植栽樹が野生化したもののようです。。

 それは大学や植物研究家の方々の調査による次のような記述論文等を拝見し、生駒のアオモジは野生化だと教えられたのでした。

 奈良県の平群町檪原、福貴畑、久安寺は山間部の花卉栽培農家が多い所であり、このあたりにアオモジもたくさん見られるが、その中心は久安寺のようである。
 当地では1960年代後半、花卉栽培をさらに盛んにしようと、先進地の徳島県を見学し、苗を持ち帰って植えるとその後、しだいに近くの山で繁殖するようになった。

 山では伐採地に生えやすい陽性の強い樹木で、現在山麓での栽培はほとんどなく、付近の山で見られるアオモジは野生化したものである。
 また、アオモジは道路から短い距離の位置に存在し、道路等の建設にともなう撹乱環境で分布拡大する移入種である。  
    (奈良植物研究会、大阪府立大学森林工学の収録論文を参考にさせていただきました。)

 

(追記)3/16
 切り倒されていた木の小枝をいただいてきました。蕾ばかりだった小枝は温かくした部屋の中で三日後に見事に咲いてくれました。雄花ばかりでしたが・・

 花を拡大してルーペで観察してみますと、雄シベ9個で、内側3個の基部に黄色の腺体が2個ずつついています。ただ、この2個の腺体は外からはほとんど見えないようですが・・

 雄シベの先の部分は花粉を作る役目の葯というのですが、その葯がそれぞれ4室で、ひと花で計36個もの黄色い葯があるために、遠くから眺めると黄色いお花と見まがうようなのは、この部分が黄色みの強い原因のようです。

 なお、花被片は白色の6個があり、中央には花弁状の白い4~5個の総苞片も目立ちます。
ということで、このアオモジの表現には白っぽい小さな花が集まって咲くとの記述や、遠くから眺めると黄色ぽっいお花が咲くとの説明などがあるようです。

 以上の説明は雄花で、雌花は若干の相違もあるようですから、ご了承願います。雌花の解説は機会があればやりたいとは思いますが・・・?

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